寒すぎて目を覚ましたら、ちょうど日の出頃だった。
カニャクマリの日の出を見過ごした身の上としては、
何だかちょっと取り返した気分になりながらうたた寝ていた。
それにしても寒い。
次第に太陽が昇ってきてるとはいえ、
ラジャスタンの気候は勝手に暑いと思い込んでいたようだ。
初めから出遅れているこの旅路は、
当然到着も遅れているようだった。
7時にコタ到着のはずが、9時前位にずれ込んでいる。
終着点についた雰囲気なバスの降り際、
運転手のおっちゃんに目的地までの行き方を尋ねると、
親切にも経路を延長して乗り継ぎ地点まで連れて行ってくれた。
指で示された方向に向かってみるとそこには、
今までに乗ったことの無い位のボロボロなポンコツバスが待っていた。
そしてそのバスはすぐに出発する。
乗り心地はどうあれ、何だかヤケにスムースな展開ではある。
なにせ、一息いれる暇なく間髪入れずに出発してばかりいるんだ。
それにしても、
そんな混雑した車内で一つ困ったコトに気がついた。
目的地の名前が解らない、忘れてしまった。んだよ。
明らかに外国人なんて殆どいないようなこの界隈で、
好奇の目線とヒンディーでの質問攻めに遭いながら、
残念ながら、お互いに何を言ったって通じないんだ。
辛うじてうる覚えなヒンディーで聞いてみる。
「ジャラワール、バラワラ、キラー、チャイエー!」
「ジャラワールのおっきなお城行きたい!」
的なニュアンスで言ってみたつもりなんだけど、
誰もが互いを見つめあってポカンとしてしまった。
城の名前は何だったんだっけ?
あいにく我が携帯はイザという時使えない。
何だか喉元まで出てきてはいるんだ。
何だかギャルっぽい城の名前だったってところまでは。
あまりのミスコミュニケーションな有様に、
周囲もだんだん白け始めていた。
すると、
隣に座っていた若者が思わず手を差し伸べてくれたんだ。
「あんた、ガグロンフォート行きたいんだな!」
なんだ、オマエ英語しゃべれるのかよ!
それで、そこで、
僕もようやく自分の思考回路の流れが解った気がした。
【参考】
ガンブロン(がんぶろん)/日本語俗語辞書
そうか、僕はこれと混同していたのか!
どうやら知らぬ間に僕もおっさんになっていたようだ。
周囲のおっちゃんたちもようやく分かってくれて、
なんだか皆んなで謎の達成感を共有した気もする。
そんな感慨と共にバスは順調に3時間ほど先へ進み、
11時手前位でようやく目的地であるジャラワールに辿り着いたのである。
にほんブログ村
にほんブログ村
PR