シムラの町並みを歩いていると、
荷物運びの男たちの存在と共に気がつくことがある。
それは、
上のモディさんも着用するこの帽子を被ったおっさん方が非常に多いことだ。
実はチャンディガールのバス停から既に気になっていた。
いっそのこと聞き出してやろうとも思っていたのだが、
未遂のままにシムラに到着して、おぼろげながら正体が解ってきた。
きっとコレは、
ヒマーチャル名物?ヒマーチャルキャップなんだろう。
土産物屋で早速漁り、100ルピーで購入してみる。
しかし、自身が手に入れたこの土産物の帽子は、
道行くおっさん方の頭に乗っかってる代物とは、
随分クオリティが違うコトにも気がつき始めた。
どうやら偽物らしい代物を被りながら進むそんな道すがら、
向かいからこのヒマーチャルキャップの集団とすれ違った。
先頭のおっさんがコチラに現地語でケシかけてくる。
何を言ってるのか、さっぱり解らないんだけど、
言いたいことは、多分わかった気がした。
「にいちゃん、どこから来たのか知らないが、その被り方間違ってるぜ。」
ベロみたいな部分を前にするのが正統なのだろうか?
確かに写真のモディさんもそういう風に被っている。
とはいえ、道行く帽子なおっさん方も被り方はそれぞれ流派?がありそうだ。
ともあれ、
そんな一件もあり、俄然本物が欲しくなってきた。
道行く帽子なおっさん方に声を掛けても、
言葉がわからないと、この意図はなかなか伝わりにくい。
それで、しばらく悶々と歩いていると、
ヒマーチャルの観光局を見つけたので、
帰りのバスと共に、その件について尋ねてみることにした。
すると、
「ココから5分くらい歩いたところに州のエンポリウムがあるから、
そこに行って買ったらいいよ。」
とおっさんは不思議そうな顔をして教えてくれた。
滅多に買い物もしない、自称物欲だけは無欲な僕ではあるが、
どういうつもりか、何だか意気込んでエンポリウムに向かう。
早速見つけヒマチャル帽子を物色していると、
今度は居合わせたおばあちゃんが色々現地語でケシかけてくる。
これまた何を言っているのか?さっぱり解らないが、
息子らしいおじさんの通訳と共に、彼女の言いたいことも大体理解できた。
それは、
「あんた、平たい顔してるけど、どの地方から来たんだい?」
「あそこかい?あっちかい?それともあれかい?」
てな具合でありがたいことに?
僕をすっかりヒマーチャル周辺民族の一員として見なしてくれているようだ。
暇そうだった店員のみなさまも、
僕らの異文化コミュニケーションに耳をそばだて笑っている。
どうやらこの帽子を買い求めるコノ変なにーちゃんがそんなに珍しいのかなぁ?
とコッチも釣られてニヤニヤ話に応じていたんだけど、
「で、何を買ったんだい?」
おいおい、それが前提で話が進んでたんじゃなかったんかいな?
と購入前から既に被っていたヒマーチャル帽子を改めて指で示すと、
多分誰も予期していなかった、
このおばあちゃんの最後のオチに僕も含め一同大爆笑したのである。
結局その後も500ルピーだったこの帽子をテンション高めに被り続けたんだけど、
その晩スカイプ越しに妻が指摘した通り、
「何なの、それ?おかしくない?」
てのが一般的な総意なのかもしれない。
「だって、ここらじゃみんな被ってて、渋いし、かっこよくない?」
とかなんとか思いながら、
正直確かに僕も感じていたんだ。
「うむむ、これを普段から被る気概が君にはあるかい?」
既におうちでしばらく眠っていて一度も結局身に付けてない、
ケララで買った
南インドのルンギを買った二の舞ではないか?
そんな訳で真贋両方の帽子を手に入れたんだけど、
既に妻からは受け取りを真っ先に拒否されている。
まぁ、いずれにしても良かったことにしよう。
だってそれを言っちゃあ、
大抵の土産物屋で衝動買いする代物は大体そんなもんだろう。
寅さんお膝元の柴又駅前でうんこを買う気持ちみたいなもんかな?
そんな風に自分の気分を落ち着けて、
そろそろ家路につく準備を始めたわけなんだ。
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